本場のロシア家庭料理味わって　日露夫婦のキッチンカー人気
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　兵庫県洲本市海岸通２の駐車場で、ロシアの家庭料理を販売するキッチンカーが人気を集めている。同市の太田直也さん（４８）とロシア人の妻イリーナさん（３８）が営む「ロシアンキッチン　イリーナ」。日露友好の歴史がある淡路島に引かれ、２年前に東京から移住してきた２人は「食で日本とロシアをつなぐ架け橋になりたい」と話す。（吉田みなみ）
　東京都内の印刷会社で働いていた直也さんは、２００３年に旅行で日本を訪れていたイリーナさんと出会って意気投合。イリーナさんはそのまま日本に残り、０５年に結ばれた。

　１０年には長男が生まれたが、直也さんは残業や休日出勤が続き、家族と過ごす時間が少なかった。体力に不安を感じ始めた１６年、「しばらく家族で楽しく、のんびり暮らしたい」と、地方への移住を決意した。

　移住先を洲本に決めたのは、洲本・都志地区出身の江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛のことを知ったのがきっかけ。嘉兵衛は、幕府がロシアの軍艦長を捕らえた「ゴローニン事件」に巻き込まれたが、ロシア側と信頼関係を築いて解決に導いた。イリーナさんは「洲本は自然が美しく、日露友好の歴史がある土地。どこか通じる部分があると感じた」と振り返る。

　１８年に淡路島に移り住み、島での暮らしにも慣れた昨年２月、料理好きのイリーナさんが「ロシア人だからこそ作れる本場のロシア家庭料理店を開きたい」と提案。キッチンカーを購入し、同年１１月にオープンした。

　メイン料理は、ピロシキとビーフストロガノフ。ピロシキは「ミート」（３５０円）や「エッグマヨ」（３００円）など全４種。ビーフストロガノフ（８００円）は淡路島産の牛肉やタマネギ、米などを使いつつ、１８００年代の古いレシピを再現した。

　直也さんは「淡路島の食材で作るロシア料理の味で、国際的なつながりを感じてもらえたら」。イリーナさんは「いろんな歴史を経てきた２カ国だけれど、隣国同士互いの歴史や文化を知れたら、もっと親しみやすくなるはず」とほほ笑む。